能舞台に充ちている色と音の世界に惹かれて染織の道に入りました。その道の途中、偶然にも出会った小さな10センチ四方の端布が、小倉織という特異な織物の存在を教えてくれました。私の生まれ育った小倉の地で350年以上も袴や帯地として名を馳せながら、昭和初期にはその生産が途絶えてしまったことも知りました。

 なめし革のような質感、木綿だけれど絹かとも見紛う底光り、くっきり冴えた縞、魅了され創ってみたいと思い試作を始めたのが30年程前です。

 その後は伝統工芸の範疇の中で、縞を無限と信じて制作してきたつもりです。

 が、どうしても草木染め、手織りの一点制作では数が限られました。使い込んでこそ真価が発揮できる小倉織には、やはり機械化しかないと判断し、汎用品としての小倉織、「縞縞 SHIMA-SHIMA」を2007年から手がけ、今に至っております。

 広幅が織れることは大きく世界を広げてくれました。風呂敷に最適と考えていた私でしたが、欧米のインテリア業界から高い評価をいただき、カーテン、クッション、椅子張りなど用途の拡大は驚く程の速さでした。また、ファッションの分野でもユニークで高品質な木綿という観点から興味をもっていただき、嬉しい限りです。

 経糸が多い(通常の木綿の3倍の密度)というのは、織る側からすれば難しい問題ばかりですが、安易さへ逃げずに作り続けた先人を見習うべきでしょう。

 手でしかできないことがあり、機械だからこそできることがあり、その双方の結びついた着地点を志高く目指して制作をしていきたいと思っています。「今」という時代を精一杯謳歌しつつ、新たなる伝統へとつながるように。
 

築城則子

築城則子[ついきのりこ]

1952年北九州市生まれ。染織家。日本工芸会正会員。「遊生(ゆう)染織工房」主宰。2008年、日本伝統工芸染織展文化庁長官賞。製法の途絶えていた小倉織を復元し、草木染め、手織りの小倉織を制作している。「縞縞 SHIMA-SHIMA」では、糸の選定とテキスタイルデザインの監修をつとめる。
(オフィシャルサイト)http://www.tsuikinoriko.com

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