#69「藍万筋」あいまんすじ Myriad of Indigo Stripes
「藍は日本の色、青と藍色を識別できる日本人です。植物を発酵させて得た藍色本来の深さ、変化に敬意を込めて、万筋、極細縞で藍の世界を表現しました。遠くからは無地に見え、近づくと極小の文様、「粋」に通じます。」-デザイン監修・築城 則子
雨の季節、見渡す限りの世界が藍に染まる夕暮れには、いつまでも窓の外を眺めていたいような、そんな気持ちになります。六月の《今月の縞》は#69「藍万筋」。時に強く、時に弱く、ただひたすらに降り続ける雨に見惚れてしまう、そのような縞と感じます。-選と文・三井
#93「光紫紅」こうしこう Lucent Violet and Vermilion
「紫と紅はお互いを引き立てあうように、しかも共にしっかり存在感を示します。黒の中で光を受けて輝く二つの色の濃淡に情感を込めました。」-デザイン監修・築城 則子
桜の頃には無粋に思える雨も、この頃には愛しくなる瞬間があります。野に、山に、咲き乱れる花々は、雨景色のキャンバスで発光するかのように一層際立ち、ひととき私たちを異世界へと誘います。五月の《今月の縞》は#93「光紫紅」はそんな幻想的な色彩を思い起こさせる縞ではないでしょうか。-選と文・三井
#67「うす紅2015」Scent of Pink 2015
「紅という文字はなんと愛らしいのでしょう。懐かしく、くすぐられるような柔らかな気持ちを誘います。グレイの濃淡に、くっきりした紅色と、少しダークな赤みが素敵なハーモニーを奏でます。」-デザイン監修・築城 則子
見つめるだけで時は過ぎ、最後まで学生服の群れの中に想い人を探した卒業式。そんな方もいるのではないでしょうか。三月の《今月の縞》は#67「うす紅2015」。生まれたまま陽や土と戯れて来た少女の頬が、赤く染まってゆくのを見るような、健気な可愛らしさについつい微笑んでしまう、そのような縞と感じます。-選と文・三井
「緋色は紫に次ぐ高貴な色として平安時代から珍重されました。また英語名スカーレットは「風と共に去りぬ」のイメージからか、強さ、存在感を感じさせます。橙色と相まって魅力が深まります。」-デザイン監修・築城 則子
春は名のみの寒さ厳しい季節。誰もが焦がれるのは、暖かな火の灯る我が家ではないでしょうか。二月の《今月の縞》は#56「緋橙」。漆黒の合間に移ろう緋から橙へのグラデーションは、美しい火のようでもあり、誰かを待つ家々の灯のようにも見える、そんな心惹きつけられる縞に感じます。-選と文・三井
「『律』は音律に通じ、音階のように、音の高低とつながります。無彩色の中で最も幅のある灰色(グレー)のグラデーションを美しく表現し、白が浮かび、映えさせるような構成です。なだらかな音律にひときわの高音が響きます。」
-デザイン監修・築城 則子
何かに追われるような無彩の年の瀬から、一変しやって来る、新年の晴れがましさは何でしょう。一月の《今月の縞》は#54「無彩律」。初春の日の光が、雲間から差し込み、辺りを照らしてゆくような、そんな希望を思わせる縞と感じます。-選と文・三井
「赤という色は魔性とでも言いましょうか、魅力的で、少し恐い色です。エキゾティックな赤の中で、さまざまな色が動いて、赤に挑みつつ絡まり合って、魅力的な縞に仕上がりました。」
-デザイン監修・築城 則子
山粧う景色に目を奪われる季節。十一月の《今月の縞》#77「異風」は、在原業平の「ちはやぶる」の歌世界に誘われる心地です。黄葉、緑黄もありながら、飛び込んでくるのは純粋で強い赤の世界。心に秘めた情熱を思い起こさせる、そのような縞に感じます。-選と文・三井
「夜に潜む色たちは、魑魅魍魎が隠れて見ているかの如く、現れては消えて、夜を楽しませてくれます。藍色、深緑色、紫色など、大きなうねりにして、夜の空気を感じていただきたいです。」-デザイン監修・築城 則子
灼熱の季節を終え、ひんやりした夜気を感じる頃。闇は本来の濃さを取り戻し、わずかな月光の下、目を凝らすとき、景色はまるで異世界のように、私たちの前に現れて来ます。九月の《今月の縞》は#44「夜」。夜の帳(とばり)がゆらめくような、藍から黒への大らかなリズムは、原始私たちが身を置いていたであろう夜闇の安堵感を思い出させるようです。-選と文・三井
#62「黒多彩2014」くろたさい Feast of Colors on Black 2014
「濃淡を添えた細い縞がそれぞれの色相を充分に表しつつ、清々しい和音を奏でるような、色の協奏曲です。黒地の中で生きる色を組み合わせるのが楽しく、同じテーマで何度も試みたくなる縞。」-デザイン監修・築城 則子
夏の夜には、幻想的で、奥行きの知れないような楽しさを感じます。八月の《今月の縞》は#62「黒多彩2014」。闇を照らす色とりどりの提灯や、夜空に広がる大輪の花火。無彩のキャンバスの上で色彩たちは、より魅惑的に、表情豊かに私たちに迫ってくるようです。ワクワクと、好奇心を駆り立てられる、そんな縞ではないでしょうか。-選と文・三井